ブエナビスタ、凱旋門賞断念の裏事情

2009年8月24日 | コメント(0) | トラックバック(0) このエントリをメール このエントリをYahoo!ブックマークに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 このエントリをtwitterに登録

 今春の牝馬2冠馬・ブエナビスタ。23日の札幌記念(G2)を勝てば、世界最高の芝レース、フランス・凱旋門賞へ行くはずでした。が、結果は、JRAで2番目に直線の短い札幌競馬場を猛然と追い込むも、クビ差届かず2着。直ちに陣営は凱旋門賞への遠征を断念し、国内の牝馬3冠を狙うとのこと

 初めから行くつもりなんかなくJRAとグルの話題作りでしょ(札幌記念の売上は30%増)と、早合点しそうになりましたが、ブエナビスタの馬主を確認して、すべての事情が氷解しました。

 ブエナビスタの馬主は「サンデーレーシング」。いわゆる共有馬主、一口馬主。競走馬の維持に伴うすべての費用は馬主が負担しますが、共有馬主ということになると、出資しているすべての方々に納得頂かないとなりませんから、これは大変です。つまり、今回、札幌記念の賞金を遠征費用に充てる算段だったのです。

 競馬の賞金は、1着と2着では雲泥の差になります。札幌記念の1着賞金は7,000万円ですが、2着は2,800万円。2,800万円のうち馬主分は2,000万円強。詳しく調べていませんが、飛行機をチャーターしてフランスへ送り走らせるには、2,000万円では感覚的に足りないでしょう。

 では、クビ差の代償、約4,000万円を馬主(出資者)に出してもらおうとなると、サンデーレーシングは40口ですので、1口あたり100万円出してもらわないといけません。全員が納得してくれるワケもありませんね、これでは。

 凱旋門賞前に賞金を稼げるレースが、夏の唯一のG2・札幌記念だったのです。そうでなければ、こんな直線の短い札幌競馬場をステップレースに選ぶわけもありません(札幌競馬場は直線約270m、凱旋門賞のロンシャン競馬場は約600m)。

 本来であれば、日本馬で凱旋門賞最先着(1999年2着)したエルコンドルパサーのように、現地のステップレースを使いたいもの。けど、競馬の賞金水準は日本が高過ぎるのです。エルコンドルパサーが凱旋門賞の前に「サンクルー大賞」というフランスの伝統あるG1を勝ちましたが、賞金はたったの2,400万円。札幌記念の2着にも及びません。

 ブエナビスタの凱旋門賞断念には、そんな事情があるのでした。

 ところで、ブエナビスタ。この馬の募集価格は4,000万円でした。40口ですから、1口100万円。これまでの7走での獲得賞金は3億8000万くらいですから、1口100万円が900万円強となっています。

 一方、この総額4,000万円という募集価格は、社台、サンデー系の馬としては、特別に高いわけではありません。同世代、同クラブの最高額募集馬は、テンペスタローザという馬で、総額1億2千万円、一口300万円。残念ながら皐月賞にも、ダービーにも出走することさえできず、今日までに獲得した賞金はわずか880万円、一口当たりにすると20万円ほど。

 たった7回走って4億稼ぐ馬がいれば、1億2千万円の馬が880万円しか稼げない。お金でダービー馬は買えないのです(勝った後に買うならともかく)。天の配剤に挑戦する、金持ちを魅了して止まない、THAT'S競馬です。

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