仏教の入門 - 「本」の巻
2006年2月 6日 | コメント(0) | トラックバック(0)
最近、数名の方から(それなりに)真剣に仏教のことを質問されることがあります。「どんな本を読んだらいいか」と聞かれたり。
もちろん、本来はその人の関心事に合わせて読むしかないのですが、ひとまず概論的なことを知りたいという気持ちもわからんでもありません。そこで、汎用的な入門のための道筋を、私なりに書いてみます。まずは本(「学」)について。次回は「行」について書きます。
「経典」を最初から読んでも退屈だと思いますし、「木を見て森を見ず」といいましょうか、仏教の考え方(教義)の中での位置づけ、連関性が見えないと思います。したがって、いわゆる概説書、啓蒙書の類をまずは読まれるのがいいと思います。とはいえ、その筋の学生が読むような「専門的な概説書」もまた眠くなってしまうでしょうから、一般を意識したものがいいと思います。
○ゴータマ・ブッダの生涯
いわゆる「仏伝」、釈尊伝です。開祖・釈尊がどういう生涯を送り、何を言い、行ったのかは、ひとまず見ておくべきだろうと思います。
立松和平『ブッダ―この世で一番美しいものがたり』PHP研究所、2004年
比較的仏伝に忠実(着色を排除)で、それでいて作家らしく「ものがたり」としての風合いをもって書かれています。バランスのとれた良書だと思います。
○仏教史概説
次いで、仏教の歴史的流れを一通り確認しておくのがよいと思います。
東大印哲を出た方で、故・中村元博士のお弟子さん。学術的根拠に基づいて仏教史が説明されています。インド、中国、チベット、日本の仏教史が概説されていますので、一冊で一通り仏教がどう生まれてどう発展していったかがわかると思います。
○仏教教義のブレンド
特定の宗派に特別な関係も無く、一個人として仏教に関わる場合、実際上、数ある仏教の考え方や「行」をブレンドして、自分自身と関係付けていくのが普通だと思います。そのアプローチをとったおもしろい本として、以下があります。
玄侑宗久『私だけの仏教―あなただけの仏教入門』講談社、2003年
芥川賞作家のお坊さん。日本で一番有名なお坊さんではないでしょうか。七仏通戒偈、三帰依を「通仏教」とした上で、対機説法、観音、苦、信、戒、六波羅蜜、インド風、中国風、日本風~各宗派紹介、方便の自覚、四無量心、利他の呪縛、フルーツとして無常・縁起・無我・中道、食後のコーヒーとして唯識・ヨーガ… と、単なる形式的現象に留まらずに、仏教を基底する思想、態度まで含めて、一冊の新書の中によく整理されていると思います。
この辺を読んだ上で、興味、関心のある地域、時代、対象・分野(歴史、思想、人物、美術、考古遺物…)を深堀していく、というのがいいと思います。
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